名医だね

日曜日だというのに、朝からまささんが大騒ぎ。なんでも、左手に力が入らないという。お味噌汁のおわんをおとしただとか、腕が上に上がらないだとか。そのうちに、左足も麻痺しているとか。ようするに、起きて病院に連れて行けというわけ。「脳血栓に違いない!」まさか。

そりゃ、糖尿病だし、血圧高いし、心臓もちょっとおかしいし、デブだし、危険因子満載なんだけれど、この前脳ドックうけたばっかりだよ。それに、このところ休養十分。昨日も合計何時間寝てた?昼間もごろごろしていたじゃないか。私は仕事で、4時にベッドに入ったばっかりだよ。

左を下にして寝ていたから、しびれたんだよ。デブは大変だね。自分の体重で血行障害だよ。

最近買った地域の「名医の本」で日曜日もやっている脳神経外科を調べたという。さっさと車を出して、助手席で待っている。急いでバナナを食べて運転席に乗り込む。脳血栓の疑いの人と、睡眠4時間の人と、どっちが運転安全だろうか・・・。

準備よく、カーナビもあわせたという。ちょっとまって、どこまで合わせた?なんかあらぬ方向へどんどん誘導されているような雰囲気。番地まであわせてないでしょ。え、町名だけ?それすごい広い町なんだけれど。地図を見せてごらん!全然わからないのに、無理に話をあわせなくていいから。地図が読めない男って本当に使えない。

メディカルビレッジという集落。駐車場もそこそこ充実。何件かの病院の建物が集まっている。日曜日もやっているのは一軒だけのよう。すごい混雑。なんと整形外科と脳外科という組み合わせ。リハビリのお客さんがたくさん待ってる。

そんなに待たずに、リハビリとは反対側の扉からお呼び出し。私は待合室で本を読んでいた。そして、一時間の間に、頭のCT、首のレントゲン、腿と首と腕の血流を調べて(デブすぎてデータ取れませんでした)心電図。1時間半後には先生のお話。

そもそもどうしてそんなに太っているのかと。どうしてタバコを止めないのかと。食事指導だって受けたでしょうと。(そうです、ごもっともです。何度も同じ話です。本人ちゃんと聞いているのか?)「へらへらごまかしたって、困るのは自分ですよ。あんたが倒れたって、やっぱりそうでしょ、って病院は何にも困らない。・・・なに?CTの危険性?そんな心配するより前に、やることいっぱいあるでしょうが。」

で、今回は何にも異常はない。寝違えたかなにか。一瞬血管が詰まったとしても、そんなにいつまでもしびれているわけはない。でも、何かの前兆ということもあるから、いつも飲んでいる○×の薬を1週間だけ2倍にして、という指示。ありがとうございます、先生。なにかあったら、また来ます。どうか見捨てないでください。


怖がりで神経質なのに、医者のいうことを聞かないまささん。体は正直だよね、ちゃんと結果がでる。丈夫に産んでもらったから、いまのところ大丈夫なのだけれど・・・。丈夫だったからか、体の感覚が鈍いんじゃないかと思う。お腹がおかしくても、胃だか腸だか分からないというタイプ。あかんぼじゃあるまいし。


ここからが、先生のすごいところ。こんなに危険因子を抱えていると、このあとどうなるか。他の患者さんの脳のCTや動脈硬化のレントゲンなどを見せてお説教。たくさん待っているのに、こんな一見の不摂生野郎に長い時間をさいて、こんなにためになる話をしてくれる先生は本当にありがたい存在です。私は感動しました。


いまなら、まだ間に合う。こんなに危険な暮らしぶりなのに、まだ状態はそんなに悪くない。という先生のご忠告が、どれだけ本人に届いたのだろう。帰りに回転寿司をたらふく食べて、家に帰って最中アイスを食べるというまささんは、本当に救いようがないと実は私は思ってる。好きなもの腹いっぱい食べて死ねれば本望だと、若い頃から言っていたけれど、まさか本心だとは思っていなかったのだが、どうやら本気だったのだろう。



そんなことより、私は自分の心配をしよう。