不二家の思い出


私が子供の頃、ケーキといえば不二家しかなかったです。イチゴのショートケーキといえば、側面にクリームが塗っていなくてスポンジの焼き肌が見える不二家のショートケーキしかなかったんです。お誕生日にケーキを食べるというのも、そのころやっと出来てきた感覚だったのかもしれないです。

リング型のババロアにフルーツがはいったケーキもおいしかった。一度、父が買ってきたのが炭酸ぽいアジになっていて、電話をしたら不二家の社員の人がその日のうちに代わりの商品を持ってお詫びに来ました。玄関先で味の確認をしていた絵柄が目に焼きついています。今思えば、ドライアイスを早くとればよかっただけなのではと思いますが。

なにかあって、家族で食事というときに、桜木町の不二家(今は道路になってしまっているあたりにあったと思います)にいきました。ファミレスなんてなかったから、家族連れでいけるきらびやかな洋風の大きなレストランといえば不二家の記憶が一番思い出に残っているかな。

ハンバーグ、鉄板に乗ったステーキなどなど、いわゆる洋食はその辺で食べたのが最初だったんでしょうね。

おうちで焼くのとは全然違って両面こんがりきれいに焼けている厚みのあるホットケーキにクリームたっぷり・・とか、ペコちゃんのチョコレートが刺さっているペコちゃんサンデーとか、わくわくするほどうれしかったです。

なんといっても不二家はミルキー。ちょっぴり湿気てぐにゃぐにゃになったのを、もりもりかみながら食べて歯の詰め物がとれてしまったり、ペコちゃんとぽこちゃんの顔が書いてある大きな箱入りの、目が左右に動くヤツ、ありましたよね。取っ手がモールでできていて横におまけの袋が付いている。幼稚園の時に、となりのりえこちゃんと福引を引いて、りえこちゃんは巨大なぺこちゃん、私のほうが小さいぽこちゃんがあたって帰りにつかみ合いのけんかをした。福引券がうちが上げたものだったので、私がけんかをふっかけたんです、たしか。・・・親にすごく怒られてベランダに追い詰められてお灸をすえられた・・・。たぶん4歳の時。


七五三のときの千歳飴で、紅白のミルキーの長いものを発売して話題になり、伊勢佐木町のデパートの不二家に、母が並んで買い込んできたことがありました。お友達とべとべとになりながら長いミルキーを食べた思い出があります。


アメリカの国旗のような模様でストライプが波型のチーズのクッキーがありました。あの味が忘れられない。あんまり甘くなくてチーズの香りがして、一ケース食べきらないと気がすまないほどあとを引きました。ところが、残念ながらどこの不二家にもあるというわけではない、幻の逸品なのでした。


高校生の時、部活の帰りに、あまりの空腹に耐えられず、駅のホームの売店で不二家のハートチョコレートをかって貪り食った・・。ハート型で片面ピーナッツがぼつぼつと浮き出ているヤツ・・。連結した袋に入って駅の売店にぶらぶらぶら下がって売っていました。もうちょっとカカオの分量が多いといいな・・とおもいつつ・・・確か40円とかそんな感じの値段でした。


フランスキャラメル。ご存知ですか?フランスの国旗柄で真ん中にシャーリーテンプルの顔。ソフトなキャラメル味が大好きでした。あの顔に似ているといわれていたことがあります。Lookチョコレートはあんまり好きじゃなかった。なかからどろりと甘いイチゴや、バナナクリームがでてくるのが、なんか好きじゃなかった。板チョコなら板チョコらしくパキッと割って食べたかったし。


目黒の駅ビルの上に確か不二家があって、レモンパイアラモードを食べに行ってた。そうそう、確か一人でときどきいってました。どうしてもアレが食べたくなる時があって・・・。パイの中にレモンクリーム、横にアイスクリームがどっさり。温度差を楽しむ・・なんておしゃれで好きでした。


というわけで、不二家さんにはどうしても立ち直っていただきたい。
時代は変わって、おしゃれなお菓子屋さんがいくらでもある時代になりましたが、
原点を失いたくない・・・。
原点としての、信頼といつまでも懐かしい温かさを取り戻して欲しいです。