穏やかな日々

父のいる老人施設にいってきた。
毎度、取り留めのない話で結構盛り上がる。それがどんなに幸せなことか。こちらに来てから、いたって元気。肌の色つやもいいし、食欲も旺盛。リハビリのおかげで、足腰もしっかりしている。いつきても機嫌がいい。

慣れるまでは、本人も周りも大変だっただろう。今では本当によくやってくれている。それなりの人間関係には、ちょっとしたトラブルやどうにもならない問題もいろいろあるようで、ときどき面白おかしく打ち明け話をしてくれる。好ましい人ばかりではない。ちょっとおかしい人もいる。でも、一人でいるよりずっと刺激になっている。人間には社会性がどれほど大切かということ、を思い知らされる。

長い間研究職に就いていて、人にものを教える立場だったので、基本的に「尊大」ではあるのだけれど、どこにいってもそれなりに人気者になれるというのは「人徳」なのかもしれない。悪態もつくし、喧嘩もしているらしい。でも、みんなに明るく声をかけている。いいよってくる「おばあさん」もいるらしい。いろいろ難しいんだよ・・・、と困ったように笑っている父は、いったいどこが悪いんだろうと思うほどステキなんだけれど。

脳の中心部分が縮んでいく病気で、余命数年という説明を受けてから2年。いわれていたような進行状況ではないようなのだが、脳の検査では確実に縮んでいるらしい。今は想像もできないが、ある日を境に寝たきりになったりするのかもしれない。それが、1年先なのか5年先なのか…。

「なんか食べに行こうよ」というので、来週食事に出かけることにした。